5年目のパン屋はコンテナ船

広い海を自分たちの手で漕いで行く

先日、職場のパン屋が5周年を迎えました。

オープンの日にパンを買いに行って、店内の写真を撮っていると、

「Nice to meet you!」と、ひときわ体格の良い職人さんが近寄ってきて、カウンター越しに握手をしてくれました。この人が今の僕の師匠です。僕にとっては一生忘れない出来事ですが、当の本人はこの時のことはすっかり覚えていないようです。

この日から10日後に再び店を訪れ、「働かせてほしい」とオファーし、フレンドリーな仲間たちとパンを焼いて5年が経ちました。

パン歴33年のボスを先頭にみんなで良いパン作って、

「今日はこんだけ売り上げたぞー!わーい!」

となったお金でオーブンやミキサーがヨーロッパから次々やってくる、新しい店舗がどんどんオープンする。

幸運にも人とモノとお金が連動して動く環境に当事者として身を置けていることは本当に有り難いです。

ドイツからオーブン、ミキサー、リターダーが、フランスからモルダーと折込シーターが到着。

約2年前に始まったコロナ禍のロックダウンも店を成長させました。

パン屋は病院やスーパーと同じく「必須産業」と認定され営業許可となり、オンライン販売はサーバーがダウンするほど混み合って毎日売上を更新。パンを主食に食べるこの国のポテンシャルを実感した毎日でした。作る側は毎日ヒーコラ言いながら乗り越えましたが^^;

逆風から一転して自信を得たビジネスは、その後勢いよく加速。

コロナ・ロックダウンの後、バージョンアップしたオーブンで一気に量産体制へ。(写真は組み立て中の様子)


現時点でも商業エリアで大きな店舗のオープニングが間近に控えていて、ミーティング等も盛んに行われています。

オープン当初は15人程が乗れる小型のヨットだったのが、
今は100人がそれぞれの持ち場で役割をこなすコンテナ船になって、
荒波をかわしながら目的地へと進んでゆく・・・

店を捉えるイメージはそんな風に変化してきました。

卸売に展開したりと戦法は少しずつ変わっていますが、日々同じ良いものを作り続けるという基本姿勢は変わりません。

5年目はこれまでの土台作りから一歩踏み込んで、自分のパン屋を立ち上げた時に生きる技術や情報をどん欲に吸収していきたいと思います。