ゆずのルヴァン

ニュージーランドではほぼお目にかかれないゆず

コロナ禍で家庭でパンを作る人が増えた。

2019年の暮れに日本に帰国した際、実家で飼っていた犬が亡くなってしまって途方に暮れた。その時、庭の東側には、父が育てているゆずの木が鈴なりに実をつけていて、この木の下でよく遊んでいたのもあって、思い立って酵母を起こしてニュージーへ持って帰ろうと思った。(ちなみに実家では消費しきれずにほぼ、ゆず風呂になる。。)

気温がかなり低くて厳しいかなーと思ったけど、最後は無事に勢いよく発酵してこれを北海道産の全粒粉と合わせて培地とし、スターターにすることができた。これが出発日前日で、5日くらいかかった。

酵母起こしは温度が肝心

日本を発つ日の朝に種継ぎして、飛行機に乗る前にもう一回。多分あの時、全国の空港で酵母の種継ぎをしてる人は僕以外いなかったんじゃないかと思う。笑 スーツケースにしまって飛び立った。

無事にニュージーランドに着くまでがんばった酵母は密閉コンテナーを突き破らんとばかりに、「ボンッッッ!!!」と轟音を響かせて挨拶してくれた。それから毎日、粉と水でリフレッシュして継いでいる。

サワードウ作りがブームになって、パン作りに興味がある人に、こういう形でゆずで酵母を起こしたという話しをするとすごく興味を持ってもらえる。

ゆずはニュージーランドでは手に入りにくく、それを実家の庭から調達して種にしてはるばる持ってきたということが興味を引いているんだと思う。

同僚のシェフやベーカーはもっと興味深々。

「Masaのパパが育てたゆずのルヴァンだぜーみんな!」と広めるヤツがいれば、

珍しいので、柑橘類のゆずそのものに惹かれる人も。

いくつかのタイミングが重なって、完成したゆずのルヴァン。これから誰かに語れるストーリーをいくつ増やせるかなー。

立派にゆずを育てた父は、今度はレモンの木に取りかかっているそうです。

実家の庭には他にニューサマーオレンジと甘夏が。写真はゆずの木

ゆずで遊ぶ人(写真は飽きてる瞬間。笑 地元ではめったに降らない大雪にはしゃぐ)