「種がすべて」
ドイツ人パン職人である僕の師匠は、
いつもルヴァンの健康状態に目を光らせています。
店ではさまざまなルヴァンを育てて、作りたいパンによって使い分けていました。
一番種類が多かった時は、
・全粒粉
・小麦粉
・ライ麦
・米粉
・スイート(菓子生地用)
と5種類のルヴァンを育てて管理していました。後に加わったパネトーネ種を入れると6種類にもなります。試作をたくさんしていた時期はこの引き出しの多さがパンのバラエティを広げるのに一役買っていたと思います。
全粒粉は小麦全粒粉主体の茶色っぽいパンに、白いルヴァンは小麦粉主体のパン(チャバタ、フォカッチャ、ピッツァなど)に、ライ麦サワーはライ麦100%のパンとプレッツェルに、米粉はグルテンフリーのパンに、そして加糖したルヴァンは菓子生地を作るために、使っていました。
これだけの発酵種を毎日種継ぎして管理するのはかなり大変です。
一個でもそれなりの時間をかけてケアするので、振り返れば良い経験になっていますが、仕込みが多い時はそれはそれはクレイジーでした・・・。涙
業務効率化の流れと、スタッフの出入りも多くなりミスを無くすために、今は店舗で一つの種に集約しています。
売れるパン、売れないパンの住み分けができてきたのも大きいです。豊富なラインナップから取捨選択していったら必要なものだけが残った例とも言えます。これだけこだわって使い分け、管理しても、売れなければ何の意味もないし、ただの職人の自己満足で終わってしまう。イーストでふわっとさせたパンのほうが先に売れていったりするところも見てきました。
自分だったら、どうするか。
種はひとつ。ひとつの種からどれだけのパンを生み出せるか、引き出しを増やして鍛えていきたいと思います。
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