フル稼働で毎日シュトレンを焼いている。
大手スーパー20件が新たに卸先に加わって製造量が増え、ボスが手伝ってくれることになった。
ボスは毎年、シュトレンに関してほとんどレシピを変えない。
変える必要がないくらいレシピとして整備されているし、作れば作るほど各工程に隠された意図を感じる。
今、パン屋で使っているレシピは、ボスの曽祖父がフランクフルトで見習い修行中に学んだものを、祖父の代でフルーツやバターの配合を変えてアップデートしたものが基礎にあり、それらをニュージーランドの小麦粉に合わせてボスが配合を微調整したものだ。
ドライフルーツの産地などが収穫状況や情勢によって変わることくらいを除けば、分量の調整くらいにとどめて、ほぼレシピはいじらない。
ドイツ語で書かれた配合表が受け継がれる伝統の重みを感じさせるし、そこに、
「今年はこれを入れてみよう」 などという一時の思いつきや流行が入り込む余地はないんだと思わされる。
バイエルン州のフランマースバッハで代々営むパン屋で完成したレシピの味を、ここ南半球のニュージーランドでもたくさんの人に体験してもらうんだという気概。
5年目となった今季。
製造量が一段と増えて嬉しそうな師匠と早くも白旗状態の僕のコンビで、あと5週間せっせとシュトレンを焼いていきます。
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