南島オタゴでのワイン研修を終えてオークランドへ戻ってきたあと、物件探しを続けながら、とあるカフェ併設のコーヒーロースタリーで働き始めました。職種は、これまでと変わらず「ベーカー」ですが、今までとは少し違う環境です。
焙煎工房と大きなカフェスペースを併設した、ローカルのコーヒースポット。パン専用の設備が整っているわけではなく、限られた道具とスペースの中で、どうパンや菓子を焼き、品質を保ち、さらに改善していけるか?というチャレンジです。

大きなデッキオーブンがなくても、工夫次第で大きなサワードウを焼くことはできる。
発酵管理も、器具に頼りきらず、自分の感覚と経験に立ち戻ってみる良いきっかけになります。

例えば、フォカッチャは作業台に並行に切って具材を挟んだりして食べますが、ここでは食パンのように垂直にスライスして提供するので、高さが必要になる。クラムを食べさせるフォカッチャが求められるわけです。

また、これまであまり関わってこなかったクリーム系のフィリングや、クッキー生地、ペイストリーの仕込みにも携わる機会があり、自分の幅を広げる意味でも、とても貴重な経験になっています。

このカフェは座席数が多く、毎日たくさんのお客さんが訪れます。そのため、常に3人以上のシェフがキッチンに立ち、それぞれがオーダーをさばきながらメニュー開発や自家製の発酵食品づくりに取り組んでいます。自分が焼いたパンはシェフたちがどうプロセスして料理と出しているのか、お客さんには何が人気なのか、いろんなフィードバックを成長のタネにしたい。

そして、このロースタリーで働くもうひとつの楽しみは、「コーヒーとの相性を考えること」です。敷地内で焙煎された新鮮な豆の香りを感じながら、その豆を使った菓子パンのフィリングを考えたり、どんなパンがコーヒーと調和するのか?という(妄想的な?)実験も重ねています。笑
物件探しという大きな目標は続いていますが、その途中で出会う「今できること」や「今しかできないこと」にもしっかり向き合っていきたいと思う今日この頃です。