いつもは屋根の下でパンを焼いている自分が、今回、初めて本格的なワインづくりに関わる機会を得ることができました。
広大な畑で、太陽の下、土に触れ、ブドウと向き合う日々。何もかもが新鮮に感じられる毎日でした。
オークランドのような都会で生きていると、土や植物、動物と毎日向き合っている人の言葉が、妙に心に響いてくる瞬間があります。
自分には見えない世界を知っていて、しかもそれは、どこか人間がもといた“原点”のような場所。
それを生業にしている農家やワイナリーの人たちの何気ないひと言には、パン職人として真面目に仕事しているだけでは届かないような、深みや説得力がありました。
「あの畑、早く摘んであげなきゃブドウがかわいそうだよ。」
収穫が終盤に差しかかった頃、佐藤さんがふと発した言葉です。
朝から時には晩まで工房で働いて、パンのことなら少しは語れる自信はあるけれど、畑で土を耕し、天気や虫や風と相談しながら「人間らしい営み」をされている人が発するたったひと言に、こちらの何千語分もの重みがありました。
自然の摂理の中で営む仕事。
ワインづくりを体験して、農業への関心はますます強くなりました。
畑を作るということ、その土地と長く向き合うということ。
そういう分野のことをもっと学んでみたいと思うようになりました。
農業でも、漁業でも、家畜を育てることでもいいのかもしれません。(今の自分からは全部遠いですが。。。汗)
パンを焼きつつも、自然の中に自分の仕事の一部があるような生き方も、これから潜在意識の中に入れて模索していきたいと思っています。
趣味を超えて、生業として関わるくらいのところまで行けば、きっとさらに面白い景色が見えてくる気がしています。^^